Time

ちひろとみすゞの朗読Time

12月8日にご紹介した金子みすゞの詩

『雪に』
 これから舞い降りてくる雪に対して、どの場所に降りたいかを聞いている、かわいいお話。とっても短い詩ですが、それだけで十分に感性が光る詩です。
自然界の景色にふと自分の心を置いて、ゆっくり眺める時間って大切だなぁと、しみじみ感じるのも、この詩の世界観です。
 
『淡雪』
 前編の『雪に』で泥になる雪が出てきて、泥にはなりたくないなと思わせておきながらも、この『淡雪』では、そのどろんこのぬかるみになりに、楽しそうに降ってくる雪を描写しています。ハッと気づくんですね。子どものころは汚れても遊ぶのが楽しかったこと。大人になるとついつい汚れたくないという否定から入ります。固定概念を見事に取っ払う、みすゞさんの素敵な感性です。

12月1日にご紹介した金子みすゞの詩

『弁天島』
 金子みすゞさんの詩には、『仙崎八景』と題して、故郷仙崎のお気に入りの場所を詠んだ詩が8編ありますが、そのうちの1編です。
仙崎港の東に浮かぶ弁天島。今は埋め立てられ車でも行ける場所ですが、当時はぽっかり浮かぶ小さな島。朝日にキラキラ輝く美しい光景は、みすゞさんのお気に入りだったんですね。その思いがとても伝わってくる、光輝く詩です。
 
『王子山』
 朗読リクエストにおこたえしての1編。これもその『仙崎八景』の1編です。仙崎から橋をわたってすぐ左に見える王子山。その展望台からは仙崎の街が一望でき、ファンの間では観光スポットとして立ち寄り必須のスポット!みすゞさんも王子山から大好きな故郷仙崎を眺めるのが大好きだったことが伺えます。仙崎の旅に『仙崎八景』のルート、おすすめです。

11月24日にご紹介した金子みすゞの詩

『羽蒲団』
 温かい羽蒲団をどこかの寒がっている誰かにあげようと想像していくも、遠くの遠くの手の届かないお空のむこうにまで思いが飛んでいくと、やっぱり自分がこの温かい羽蒲団で寝ようと思いなおす、かわいい子ども心の詩です。みすゞさんの時代、明治大正昭和初期は、羽蒲団はそれはそれは貴重な贅沢品でした。そうした時代背景からも浮かんでくる詩は違ってきますね。
 
『白い帽子』
 この詩は逆に、自分から離れてしまった温かいお気に入りの帽子が、もう戻ってこないなら、どうせなら、自分がいい思いをしたように、だれかの幸せにつながってほしいと願う優しい心の詩です。失くしたものは、失くしたもの。という潔さ。そして失くしたまま、もう思いがぷっつり切れるのではなく、その先の拾ってくれた人、使う人の温かさに繋がってほしいと願っている、この思いやりを私たちは失くしたくないなと思います。自分の嬉しいが、だれかの嬉しいになっていていほしいですね。

11月17日にご紹介した金子みすゞの詩

『林檎畑』
 朗読リクエストにお応えしての詩。忘れ去られているような雪深い人里離れた場所にひっそりと佇む林檎の木。その林檎を一つもぐと一つ鐘が鳴る。その鐘の音を遠くで旅人が聴いて涙するというお話です。雪の冷たさと心の温もりの描写が見事な、幻想的な詩の世界。みすゞさんはきっと、いつも、冷たさの奥の温もりを見つめていたんですね。誰の心にもある、温もりを。

11月10日にご紹介した金子みすゞの詩

『花のお使い』
 秋の花と言えば菊。それをおばさんの家へ持っていくお使いの女の子。綺麗な菊を持っている自分が、とっても綺麗に映ることが嬉しい様子です。お花はいつも、私たちを癒してくれて、いい気持ちにさせてくれる。お花って、優しいですね。
 
『栗と柿と絵本』
 この詩もまた県外に住むおじさんおばさんが登場します。山や里から送られてくる小包には、荷物の中に一緒に松葉や小蟻が入っていて、でも町の本屋であるみすゞさんのお家からの小包には絵本の他には何も入ってない。それをさみしく思うみすゞさん。自然の豊かさに私たちは心が癒されることを、さりげなく伝えてくれています。忘れかけていること、大切なものを見失いがちなことを、みすゞさんの詩はいつも優しく伝えてくれます。

11月3日にご紹介した金子みすゞの詩

『ゆびきり』
 この美しい秋の夕暮れ時に、牧場で交わされる女の子と男の子、二人の子どもの約束。なんとも可愛い純粋な姿に、夕暮れに沈むお日さまが、明日も出ないでおきたいなと、照れている様子が描かれている詩です。真っ赤な空が、お日さまが自身が照れている空の色とみすゞさんが見つめている、その素敵な感性にまた、感動しますね。
 
『夕ぐれ』
 日が暮れてもまだ遊びたい子どもの気持ちの中には、遊びたいけど家に帰ったら美味しいご飯が待っているという、二つの気持ちで揺れ動く様子が可愛い詩です。夕暮れ時は、どこか切ない思いが空に滲む。その切なさを私たちはまた美しいと感じるものがありますね。不思議な気持ちですが、この不思議って、素敵ですね。そして、帰る家がある倖せ。いつもの倖せが、嬉しいですね。

10月27日にご紹介した金子みすゞの詩

『きりぎりすの山登り』
 金子みすゞ512編の最後から2番目の詩です。この精一杯飛び跳ねて頑張るきりぎりすに、みすゞさんの姿が重なります。童謡詩人として華々しいデビューを果たしたにも関わらず、夫から詩の創作を禁じられた。もう詩人としての「山登り」を終えて一休みする心情は、計り知れない無念さと悔しさもあったことでしょう。そう思いながら読んでみると、この可愛いストーリーもどこか切なく心に響きます。

10月20日にご紹介した金子みすゞの詩

『栗』
 金子みすゞさんもきっと栗が大好きだったんだろうなって思う詩です。栗が早く木から落ちてほしい気持ちの描写が可愛く、おとなしくいい子にしていると願いが叶うかも、という純粋な子どもの姿。ほっこりする詩です。
 
『露』
 思いやりの心溢れる素敵な詩です。人が大切にするべき「思いやり」の心の物語が、お庭のお花、蜜を吸う蜂、その周りを囲む存在で構成されています。
 噂話の広がり方は、意図しない形で伝わるものです。そして現代はインターネットでの拡散が激しい時代。特にその広がり方には、見えない誰かへの思いやり、配慮はとても大切ですね。そこには「想像力」が必要です。金子みすゞさんの詩は、想像力を養うには最高の教材とも言えるでしょう。

10月13日にご紹介した金子みすゞの詩

『輪まわし』
 今年は11月下旬ごろまでの2か月弱、「地球の月が2つになっている」そうですが、それに似たようなおもしろい天体の詩です。みすゞさんが生きた時代に、もうこのような天体をテーマにした詩を作るとは、それほど好奇心も強く、いろんな本を読んでいたのがわかります。今みすゞさんが生きていたら、月が2つの天体ショーをどんな言葉で表現したでしょう。それを想像するだけでも、みすゞファンの心は踊ります。
 
『見えない星』
 その「2つ目の月」は肉眼では見えないほどの、幅10メートルという小ささ。このみすゞさんが描く見えない星です。見えたほうが嬉しいだろうにと思いがちですが、みすゞさんは言います。見えたくない、隠れていたい魂もあると・・・。そうした心も大切に見つめていたい、寄り添いたい、そんな優しい気持ちになる作品です。

10月6日にご紹介した金子みすゞの詩

『秋は一夜に』
 「秋」の姿は見えないけれど、「あ、秋が来た」と感じる私たち。その感性をみすゞさんは素敵な描写で描いています。何気ない日常をドラマチックに描くセンスが素晴らしい金子みすゞの才能は、さりげないながらも脱帽しますね。短い秋をいろんな角度で見つめながら楽しみたいものです。
 
『星とたんぽぽ』
 金子みすゞの代表作の一つ。大切なものは目に見えない中に隠れている、それを心の眼で見つめることが大切だと伝えてくれる詩。小学校の教材にも出てくる作品です。想像力の先に喜びがある。そして見えないものを感じ合い、言葉を交わして分かち合える私たち。見えないものを分かち合えることって素敵なことですね。

月間アーカイブ