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もしもに備える防災TIME

2023年06月

大雨警戒レベル

2023年6月27日(火)放送分

  • 大雨警戒レベル
  • 大雨警戒レベル
  • 大雨警戒レベル

5年前の2018年に発生した、平成最悪の豪雨災害、西日本豪雨…この時、様々な防災情報が出されましたが、その情報の重要性や意味が理解されず、住民の避難に十分に結びつかなかったことが浮き彫りになりました。
その反省を踏まえ、防災情報の伝え方の改善策として、翌年から始まったのが「大雨警戒レベル」です。防災情報をシンプルに整理して、住民の取るべき行動を5段階に分け、明確に示した情報です。

レベル1 「最新情報に留意」
すぐに何か起きるわけではありませんが、近日中(おおむね5日以内)にレベル3以上に上がる可能性があります。天気コーナーは心構えを高める話題をお伝えすることがあります。

レベル2 「避難方法の確認」
雨が降り出し、土砂災害の危険が高まり始めて、まず大雨注意報が出された段階です。今後の雨の状況に気を付けて、避難場所や経路などを確認しておきたいところです。

レベル3 「高齢者等は避難」
さらに危険が増し、大雨警報が出された段階です。自治体から「高齢者等避難」が出され、高齢者など避難行動に時間がかかる人は、早めの避難を始めるべき段階です。障がいがある人や乳幼児がいる家庭、川や崖の近くに住み、逃げるための猶予がない人も、避難行動を始めたい段階です。

レベル4 「すみやかに避難」
土砂災害の危険がかなり高まり「土砂災害警戒情報」が出るような段階で、自治体は「避難指示」の発表に踏み切ることがあります。危険な場所にいる全ての人が、速やかに安全な場所に避難することが求められる段階です。

レベル5 「命を守って!」
「大雨特別警報」に相当し、すでに災害が発生したり、安全な避難ができず命の危険が迫る段階で、避難所に行くことが危険な状況になっている場合があります。
個人個人で少しでも命が助かる可能性が高い行動を、自己判断で行う必要があります。

大事なのは「レベル4」までに避難完了の徹底です。わたしたち一人一人が主体的に、命を守る防災情報を正しく受け止めて、行動に移していきましょう。

危険度分布“キキクル”

2023年6月20日(火)放送分

  • 危険度分布“キキクル”
  • 危険度分布“キキクル”
  • 危険度分布“キキクル”

大雨に対して警戒レベルを最も詳しく把握できるツールとなるのが「キキクル(危険度分布)」です。
大雨による災害は大まかに「土砂災害」「低地の浸水」「河川の洪水」の3種類あります。
これらの災害が発生する危険度は、降った雨の量のほか、土砂災害では地盤の緩み、浸水では地面に浸み込まず地表面にたまる水、洪水では河川に集まって流れる水の量が大きく関わり、どの危険度が高いのかは、その土地や防災インフラの整備状況などで大きく変わってきます。
 
気象庁は、この災害の危険度を、地図上にリアルタイムに表示して、災害の危険度が高い場所がどのように分布しているか、よりきめ細やかに確認できる情報をホームページで公開しています。
また、この情報を、もっと多くの人に認知してもらい活用してもらうために、愛称を一般公募し、2021年から「大雨で危機が来る」という意味の「キキクル」という愛称を使用しています。
 
キキクルが表示する災害危険度は、気象台が発表する大雨や洪水の注意報、警報の発表基準とも連動し、注意報レベルで黄色、警報レベルで赤色、土砂災害警戒情報レベルで紫色、特別警報レベルで黒色、と色分け表示されます。紫色が出てくると、自治体は「避難指示」を出すレベルでもあるため、自分が住む地域に紫色が出てくるまでには、避難行動に取り掛かるなど防災対応が必要です。
 
キキクルの情報は、気象庁ホームページで見ることが出来るほか、危険度が高まった時に天気コーナーでもお伝えしていきますし、KRYテレビでは、リモコンのdボタンでデータ放送の画面にして「土砂災害危険度情報」というメニューを選ぶと、危険度分布の最新の情報をご覧頂くことができます。周囲にインターネットの使い方がわからない、という方がいらっしゃれば、ぜひデータ放送で情報を見ることができることを教えてあげてください。
そのほか、KRYのホームページ、さらにスマートフォンでは「KRYアプリ」でも、キキクルの情報や、その他の気象情報、防災、減災情報をお届けできる仕組みを整えています。
 
大雨や洪水の注意報、警報が出たらキキクルを確認し、きめ細かく危険なエリアを確認する習慣を付けておくといいでしょう。

“線状降水帯”予測に向けた取り組み

2023年6月13日(火)放送分

  • “線状降水帯”予測に向けた取り組み

線状降水帯による大雨の可能性が高まってきている際、明るいうちから早めの避難や、災害に対する危機感を高めるために、気象庁は半日程度前を目処に、「九州北部地方」など地方単位で、予測情報を発表します。今月2日の台風2号と梅雨前線による大雨でも、四国から関東甲信地方にかけての広い範囲で、予測情報が発表され、ニュースなどで大きく報道されました。
 
ただ、線状降水帯について、まだメカニズムが未解明な部分が多いことから、まだ決して的中率が高い情報とは言えません。この情報の運用が始まった去年は、予測を発表したのに線状降水帯が発生しなかった「空振り」が13回中8回、予測を出さなかったにも関わらず線状降水帯が発生した「見逃し」が11回中8回もあり、トータルでの成績は2割程度にとどまりました。
また、今月2日の大雨に関しても、情報を発表したにもかかわらず、線状降水帯が発生しなかった「空振り」のケースがみられました。
そもそも「九州北部地方」など地方単位での情報であるため、予測情報が発表されても、自分事として捉えにくい、というところもあります。
 
そこで気象庁は、今年から「富岳」の技術を活用した「線状降水帯予測スーパーコンピューター」の活用を開始しました。計算能力の大幅な向上で線状降水帯の積乱雲を細かく素早く把握することで、予測技術を向上させることが狙いです。
これにより、現在は地方単位で行っている半日前の線状降水帯予測を、来年度には県単位で、さらに将来的には市町村単位にまで地域を絞っていく予定にしています。
 
また、線状降水帯が発生した時に発表される「顕著な大雨に関する気象情報」は、今年から線状降水帯発生直前30分前を目処に予測の時点から発表する形となっていますが、こちらも発生2~3時間前までに情報が発表できるよう、出来る限り時間の猶予がある形に情報を充実化させていく予定です。
 
線状降水帯に関する情報は、今はまだ発展途上ですが、技術の飛躍的な進化で、いずれ、どんどん精度が上がり、情報が活用しやすくなる道筋が見えてきています。
様々な防災情報を、しっかり頭に入れて「心構えを高める」「いざという時の安全確保」といった練習、経験を、今の段階から重ねていきましょう。

“線状降水帯”直前予測の情報

2023年6月6日(火)放送分

  • “線状降水帯”直前予測の情報
  • “線状降水帯”直前予測の情報
  • “線状降水帯”直前予測の情報

 大きな災害を引き起こす大雨で、特に危険とされているのが、「線状降水帯」です。線状降水帯とは、梅雨前線などにより発達した積乱雲が線状に連なり、同じ場所に積乱雲がかかり続けて集中豪雨が発生する現象で、災害を引き起こす危険な現象、として一般的な認識も高まりつつあることから、気象庁では、一昨年から、線状降水帯の発生で急激な状況の悪化が確認できたときに、「顕著な大雨に関する気象情報」という、線状降水帯の発生を知らせる情報を発表、さらに去年から、「九州北部地方」など地方単位で半日前を目処に線状降水帯の発生予測情報の発表を行っています。

 線状降水帯は、形成する積乱雲1つ1つの大きさが小さく、どこでいつ発生するのかの事前の予測はかなり難しいのですが、気象庁は、今年から線状降水帯予測に特化したスーパーコンピューターを稼働するなど、線状降水帯を作り出す積乱雲を、より細かく素早く把握する取り組みを加速させています。これにより、今年からは、線状降水帯が発生した時に発表されていた「顕著な大雨に関する気象情報」を、線状降水帯発生直前30分前を目処に予測の時点から発表する形に変更になりました。この情報が発表された際は、ラジオやテレビなどで速報で伝えられるほか、気象庁のホームページでは、雨雲レーダーのページで、大雨の危険度が急激に高まるエリアを、楕円で囲む形でお知らせされます。

 たった30分…と思う方もいらっしゃるかと思いますが、地震に「緊急地震速報」があるように、この情報は「大雨の緊急速報」といった位置づけと考えるのが良いと思います。急な大雨災害に対して、少しでも早く防災行動に繋げてほしい、という気象庁のメッセージと捉えて、災害の危険が急激に迫る中、限られた時間の中でも何が出来るのかを、日頃から考えておくことが大切です。